【Aavesham】 (Malayalam)

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【Aavesham】 (2024 : Malayalam)
題名の意味 : 熱狂
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : コメディー/アクション
公 開 日 : 4月11日(木)
上映時間 : 2時間38分

監督 : Jithu Madhavan
音楽 : Sushin Shyam
撮影 : Sameer Thahir
出演 : Fahadh Faasil, Hipster, Mithun Jai Shankar, Roshan Shahnavaz, Sajin Gopu, Midhutty, Mansoor Ali Khan, Krishna Kumar, Neeraja Rajendran, Pooja Mohanraj, Pramod Veliyanad, Ashish Vidyarthi(特別出演), 他

《 プロット 》
 アジュ(Hipster)とビビ(Mithun Jai Shankar)は工科大学で勉強するため、ケーララ州からベンガルールにやって来る。二人は大学の寮に入るつもりだったが、BKホステルというプライベートホステルのオヤジに「大学寮は暴力や麻薬などで荒んでるから、うちに来なさい」と勧誘されるまま、そのホステルに入ることにする。そこで同じくケーララ出身のシャンダン(Roshan Shahnavaz)と同室になる。
 この大学はシニアのクッティ(Midhutty)とそのグループが仕切っており、新入生イジメを行っていた。だが、アジュ、ビビ、シャンダンの三人はそれを不快に感じ、特にシャンダンはシニアを挑発するような行動を取る。そのため、クッティはもの凄い数のグループを引き連れ、アジュら三人をぼこぼこに痛めつけ、結果、三人はクッティに忠誠を誓う羽目になる。
 これを屈辱に感じたアジュは、ビビとシャンダンを説き伏せ、クッティに復讐するために後ろ盾を得ようと提案する。そのため三人は、夜な夜なローカルバーへ行き、後ろ盾になってくれそうなヤクザを探す。そしてとうとうランガ(Fahadh Faasil)というケーララ人のヤクザのボスと出会う。ランガにはアンバーン(Sajin Gopu)やナンジャッパ(Krishna Kumar)という勇敢な部下がいた。ランガは三人をなぜか気に入り、夜だけでなく昼までバーに呼び出し、酒盛りをする。それだけでなく、三人をホステルから出させ、家をあてがい、ビール、煙草、ロイヤルエンフィールドのバイクまで与える。三人はしかし、ランガと遊ぶことが目的ではなかったので、率直にクッティをこらしめてほしいと話す。ランガは承知し、翌日のホーリー祭の日に手の者を率いてキャンパスに乗り込み、クッティとそのグループをこてんぱんに痛めつける。これでクッティらはアジュら三人に従うようになる。
 しかし、連日ヤクザのお付き合いをしていた三人は、勉強どころではなく、試験に落ちてしまう。大学理事(Ashish Vidyarthi)は三人を呼び出し、「お前たちがプロのヤクザだということは知っている。だが、次の追試に合格したら、除籍は免じてやる」と告げる。三人は勉強しなければならなくなるが、ランガはさらに家で盛大な誕生パーティーを開いたり、娼婦を呼んだりとかで、豪遊はエスカレートするばかり。さらに三人は、あてがわれた家にはかつてランガが殺した従兄の死体が埋められていると知り、恐怖に駆られる。そうこうしているうちに、三人はヤクザのレッディ(Mansoor Ali Khan)に誘拐される。レッディはかつてランガのボスだったが、ランガの独立後、彼が自分のスタイルを盗んだとして、ランガを討とうとしていた。三人はレッディに協力を約束して、解放される。三人はランガに会いに行くが、彼の冷血な一面を目撃し、怖くなって逃げる。そして、トゥムクルにいる友人のホステルに隠れる。
 三人にとっては久々に平和な時が流れ、勉強もはかどる。だが、結局はランガに見つかってしまい、家に戻される。家にランガがやって来る。ビビはランガを殺すつもりでいる。三人はレッディに連絡を入れ、レッディとその手勢が家に押しかけて来る。ところが、ランガはその手勢を一人でやっつけてしまい、レッディも殺す。と、そこへランガの手勢もやって来、三人を殺そうとする。絶体絶命の三人。だがその時、奇跡に近いことが起きる、、。

・他の登場人物 : ビビの母親(Neeraja Rajendran)

《 コメント 》
・クレージーな映画だった。まずはランガがクレージーなのであるが、こういうクレージーなキャラクターはS・J・スーリヤぐらいしかやらないと思っていたが、ファハド・ファーシルもやるんだ(もっとも、ファファーはどこかズレた人物を演じることが多いが)。マラヤーラム映画で、こういうブチ切れた作品が現れるとは、良い時代になったものだ。

・そして、酒くさい映画でもある。インド映画でも飲酒のシーンは普通にあるが、映画の始めに「アルコールは健康を害します」という注意書きが出されるインド映画にあって、ここまで酒くさい映画は珍しいと思う。物語の序盤で、ベンガルールの大学に入学したアジュら学生たちが、「バンガロールに来たら、飲まなウソやろ」と言って、いきなり酒をがぶがぶ飲み始めるのには笑ってしまった。「パブシティー」とか呼ばれるベンガルールではあるが、他州の皆さん、ベンガルールに対して何か誤解していませんか?

・さらに、アジュら三人が後ろ盾のヤクザを求めて、ローカルバーを渡り歩くシーンも印象的。ローカルバーは、ベンガルール在住の日本人の中でも行く人はあまりいないし、まして若い女性はほぼ行けない。それでローカルバーへ行けるのはオッサンの特権となり、私もしょっちゅうその特権を行使している。映画中のランガが常用していたバーはMayuri Barという名前。実はこの名前のバーはベンガルールのあちこちにあるが、映画中のものはセット(こちら)。

・ランガのキャラクターだけでなく、映画全体がクレージーなので、レッテル貼りが難しい。強いて言えば、反ヒーローの映画か? 物語が学生たちのホステルでの騒動から始まったので、カンナダ映画の【Hostel Hudugaru Bekagiddare】(23)やテルグ映画の【MAD】(23)のようなバカ者群像映画になり、ファファー演じるランガはサポート役に回るかと思いきや、そうではなかった。バカ者はランガのほうで、ランガを中心とした映画になっている。
 (写真下: 左よりビビ、ランガ、アジュ、シャンダン。)

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・そこでこのランガのキャラクターが問題になるのだが、ヤクザだし、碌なことはしていないし、インチキくさいしで、一見、ヒーローのパロディーとして現れる。ところが、終盤になって、1人で30人超の敵をばったばったとなぎ倒し、刺し殺し、噴血ドバッなアクションを展開し、本当は強くてカッコいいということが分かり、何やら実は良い奴な側面も見せて、「もしやこいつはヒーローじゃないか?」と思わせるところが面白い。というわけで、本作は「反ヒーロー映画」ではなく、非常に崩した形ではあるが、「ヒーロー映画」だと認定したい。(そんな映画をナスナスがプロデュースしているというのが何とも・・・)
 (写真下: ランガはこの包丁で一体何を切ろうとしているのか?)

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・ただ、例えばムンバイにはタミル系住民を護るためにタミル人マフィアがあるように、本作ではベンガルールで暗躍するケーララ人マフィアの実態が見られるかと期待したが、そちらの意識は薄いようだった。

・アジュ、ビビ、シャンダンの三人を演じたのは、それぞれHipster、Mithun Jai Shankar、Roshan Shahnavazという人らしいが、詳細は知らない。

・このサジン・ゴープ(カタカナ表記は当てずっぽう)という人の演じるアンバーンが活きていた。

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・もう1人、クリシュナ・クマールという人の演じるナンジャッパというキャラクターが、年寄りで、全く役に立たなさそうに見えて、実は武術の使い手だというヒネリが面白かった。

・本作は面白くて、満足度も高いが、唯一の不満が女っ気に乏しかったこと。一番出番の長かった女優がこの人でした。

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《 オマケのひと言 》
・映画中にランガたちが余興で映画の題名を当てるジェスチャーゲームをやる場面があったが、そこで挙げられた膨大な数のマラヤーラム映画のうち、8割でも知っていたら、きっとマラヤーラム映画の達人。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

《 鑑賞データ 》
・鑑賞日 : 4月27日(土),公開第3週目
・映画館 : Cinepolis (Lulu Mall),10:00のショー
・満席率 : 3割
・場内沸き度 : ★★★★☆
・英語字幕 : あり

《 参考ページ 》
https://en.wikipedia.org/wiki/Aavesham_(2024_film)
https://www.imdb.com/title/tt26660021/

 

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