【A】 (1998/2024 : Kannada)

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【A】 (1998/2024 : Kannada)
題名の意味 : ?
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ?
公 開 日 : 5月17日(金)
上映時間 : 2時間30分

監督 : Upendra
音楽 : Gurukiran
撮影 : H.C. Venugopal
出演 : Upendra, Chandini, Marina, Archana, Kote Prabhakar, Michael Madhu, Mandapanda Aiyappa, Tumkur Mohan, Biradar, Gurukiran, 他

《 プロット 》
 外国から来た映画配給者のマリーナ(Marina)は「A」という題名の作品の試写を見、感銘を受ける。だがそれは検閲によってバチバチにカットされたもので、20分しかなく、クライマックスもなかった。マリーナはプロデューサーのプラバーカル(Kote Prabhakar)やマイケル(Michael Madhu)に、この映画を撮った監督に会って、映画の完成をお願いしたいと訴える。
 だが、当の監督スーリヤ(Upendra)は酒浸りで、映画を撮る気などもはやないようだった。彼は女優チャーンディニ(Chandini)との恋に破れ、今や彼女を取り戻すことしか頭になかった。彼はチャーンディニの屋敷に乗り込むが、彼女の護衛に叩き出される。なおもすがりつくスーリヤに対し、チャーンディニは彼を高台に連れて行き、「本当に私を愛してるなら、ここから飛び降りてみせなさい」と言う。スーリヤは本当に飛び降り、病院に担ぎ込まれる。スーリヤの言動が理解できないマリーナに対し、かつての助手がスーリヤの過去を語って聞かせる。
 ・・・
 スーリヤは辛口の映画を撮ることで知られた人気監督だった。彼は新作の撮影をしていたが、ヒロインのアルチャナー(Archana)が気に食わなかった。と、そこへチャーンディニが自らを売り込みにやって来る。スーリヤはチャーンディニに好印象を受け、彼女をヒロインに据える。だが、撮影が進むにつれ、チャーンディニはスーリヤに愛を告白するようになる。愛ゆえに自殺した兄を持つスーリヤは愛など信じない人物だった。そこでスーリヤはチャーンディニに辛く当たり、数々の試練を課す。だが、チャーンディニがその試練に耐えたため、スーリヤは愛というものを信じるようになり、チャーンディニを受け入れる。それからしばらく、スーリヤに幸せな時が流れる。
 ところが、ほどなくしてチャーンディニは手のひらを返したようにスーリヤを蔑ろにするようになる。理由を尋ねるスーリヤに対し、彼女は、父を亡くした際にお金もなく、あちこちの男に悪し様に扱われ、結局はお金が全てだと悟った、そしてこれは以前にスーリヤから教わったことだ、と答える。のみならず、彼女は実業家のテージャ(Mandapanda Aiyappa)と関係を持っているようだった。
 ・・・
 チャーンディニを求めてなおもさまようスーリヤは、アルチャナーが悪漢たちに追われている場面に出くわし、彼女を救う。アルチャナーは悪漢はチャーンディニの手下で、チャーンディニはとんでもないあばずれだと暴く。スーリヤがそれを信じなかったため、アルチャナーは彼をチャーンディニが女優たちを眠らせて政治家や実業家に斡旋している現場に連れて行く。アルチャナーが逃げたことを知ったチャーンディニは、手下に彼女を捜し出すよう指示し、さらにスーリヤの家も襲撃させる。
 翌朝、スーリヤは家が荒らされ、両親と妹が深く嘆いている場面を見る。しかし、あろうことか、スーリヤはチャーンディニに買収された警官に売春容疑で逮捕されてしまう。そこはマリーナたちが保釈させるが、憤ったスーリヤはチャーンディニの不正を暴き、映画「A」を完成させる決意をする。
 スーリヤはカメラマンを率いて、チャーンディニが売春をさせている現場を急襲し、撮影する。そしてチャーンディニとテージャにも迫る。テージャがチャーンディニとの関係を否定したため、彼女はテージャを殺す。スーリヤはそんなことお構いなしに、チャーンディニを誘拐し、郊外の掘っ立て小屋に閉じ込める。そしてカメラを回し、小屋に火をつける。プロデューサーのプラバーカルやマリーナ、そしてアルチャナーたちは、スーリヤが非常に危険なクライマックスを撮ろうとしていることを知り、止めさせようと現場に急行するが、、。

《 コメント 》
・1998年に公開されたウペンドラの代表作の1つ。実に26年ぶりのリバイバル公開。DVDでは何度か観ているが、映画館では未見だったので、観て来た。いや、面白い。と言うか、DVDで観てもエグい映像とBGMが、劇場で観ると何倍か増しで、鬼気迫るものがあった。やはり映画は映画館で観るに限る。

・それにしても、ウペンドラの作品は、監督デビュー作の【Tharle Nan Maga】(92)から【Upendra】(99)までの6作は本当に面白い。アイデアも斬新(当時)なら、オリジナリティーがあり、何よりも勢いに満ち満ちている。徒に難解だったり、テイストにクセがあったりするのだが、それでも当時のカンナダの大衆が熱狂したのも肯ける。

・本作もそんなウペンドラのカルト映画の1つなのだが、モーニングショーに行ったのがマズかったのか、「今さらAを観ても」と思われているのか、観客は20名程度だった。数的には寂しいが、しかしその20人が1人で10人分ぐらいの声援を送るものだから、劇場内はけっこう賑やかだった。

・本作はウペンドラの主演俳優としてのデビュー作でもあるが、デビューにしてすでにウッピスタイルが確立されている(逆に言うと、そこからほとんど変わっていないのだが)。【Kabzaa】(23)ではずいぶんオッサンくさいものを感じたが、まだ30歳前のウッピはキリっと引き締まっていて、男前。

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・今回の再公開に当たって、Wikipediaの記事を読んだのだが、意外に思った点が3つあった。1つは、「A」という題名は思い付きだとウペンドラ自身が言っていること(知っていたかも)。で、「映倫の認証がAになると思っていた」とも言っているが、皮肉なことに、認証はUだった(今回も)。

・2つ目は、1998年の公開の際には、配給者が付かず、最終的にヤシュ・ラージが配給権を買ってくれたらしいこと(これも知っていたかも)。当時のカンナダの映画屋さんは見る目がなかったね(【A】より前に作られた【Om】が大ヒットしたにもかかわらず)。

・3つ目は、【Jallikattu】(19)でお馴染みのマラヤーラム映画界のリジョー・ジョース・ペッリシェーリ監督が、影響を受けた5つのインド映画の1つに【A】を挙げているらしいこと(「らしい」と言うのは、Wikipediaにリンクがなくて、元記事が読めないから)。私は【Jallikattu】がどうも苦手で、リジョー監督に対する関心も薄いのだが、ウペンドラの影響がそこにも及んでいるのなら、同監督の他の作品も観てみようかなという気にはなる。

・本作は回想シーンとヒネリが多く、構成の難しい作品だと言われている。そこで今回はメモを取りながら鑑賞し、分析してみたのだが、実はそれほど複雑な構成ではないことが分かった。当時のインド映画の感覚では難解だったろうが、今では、同じカンナダ映画に限っても、【Lucia】(13)や【Saramsha】(24)、【Blink】(24)などのほうがよっぽど厄介だ。

・ただ、26年前の感性では難解な映画がなぜ大衆を熱狂させたかと考えると、ウペンドラのヒーロー像の他に、やはり台詞のカッコよさがあるだろう。かなり説教くさいものもあるが、何度聞いても惚れ惚れとする台詞が連発する。ウッピのこの言葉のセンスは何ぴとも否定はできないだろう。

・ヒロインのチャーンディニを演じた女優は同名のチャーンディニ。いや、このチャーンディニはヒロイン以上の、悪役を合わせたような役柄で、非常に面白い。もしかすると、ウペンドラの演じるスーリヤよりも重要かもしれない。ちなみに、スーリヤとチャーンディニで「太陽」と「月(月光)」の対になっていることに注目。

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・その女優チャーンディニは、この【A】と、続く【A.K. 47】(99)の大ヒットで、一時は人気トップのカンナダ女優だったのであるが、その後ぱたっと情報がなくなり、さっさと引退したのかと思っていた。どこかの大学で講師をしているとの情報もあったが、よく分からない。しかし、2015年に【Khaidi】という映画でカムバックしたとの記事もあり、完全には映画界から足を洗ったわけではなさそうだ(これも9年前の話だが)。

《 オマケのひと言 》
・挿入歌"Sum Sumne"に使われたイメージ(下)が何とも。

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 まぁ、巨匠マニ・ラトナムさんも似たようなセンスですけどね。

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◆ 完成度 : ★★★★☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

《 鑑賞データ 》
・鑑賞日 : 5月18日(土),公開第1週目
・映画館 : Nartaki,10:30のショー
・満席率 : 1割以下
・場内沸き度 : ★★☆☆☆
・英語字幕 : なし

《 参考ページ 》
https://en.wikipedia.org/wiki/A_(1998_Kannada_film)
https://www.imdb.com/title/tt3178292/
https://blr-indoeiga.jugem.jp/?eid=17

 

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