【The Girlfriend】 (2025 : Telugu)
題名の意味 : ガールフレンド
映倫認証 : UA13+
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 11月7日(金)
上映時間 : 2時間12分
監督 : Rahul Ravindran
音楽 : Hesham Abdul Wahab
撮影 : Krishnan Vasant
出演 : Rashmika Mandanna, Dheekshith Shetty, Rao Ramesh, Anu Emmanuel, Rohini, Rahul Ravindran, 他
《 プロット 》
ブーマー・デーヴィ(Rashmika Mandanna)は英文学の修士号を取得するためにラーマリンガイヤ大学に入学し、寮生活を始めることになる。その初日にハルシターという女子学生とヴィナイという男子学生と友人になる。ブーマーの指導教授はスディール(Rahul Ravindran)で、学部長でもあった。自己紹介の時、ブーマーはスディールに「作家になりたい、子供たちのために本を書きたい」と抱負を述べる。
専攻は違えど、ヴィクラム(Dheekshith Shetty)もこの大学院の新入生。彼は性格が強く、先輩たちのイジメにも怯まなかった。ドゥルガー(Anu Emmanuel)はそんなヴィクラムにひと目惚れし、接近を試みる。
ある夜、ブーマーを乗せたハルシターのスクーターが車と接触し、運転者といざこざが起きる。たまたまそこを通りかかったヴィクラムが運転手を殴りつけ、ブーマーとハルシターを救う。しかしその運転者は警官だった。翌朝、ヴィクラムはその警官に叩きのめされる。その知らせを受けたブーマーは、男子寮のヴィクラムの部屋に行き、けがの手当てをする。それがきっかけで二人は親しくなる。
ある夜、ブーマーはヴィクラムに呼びつけられ、彼の部屋まで行く。そしてノートPCで映画を観る。その後で、ヴィクラムはブーマーにキスをする。
翌朝、登校したブーマーは驚く。ヴィクラムとキスしたことがもう知れ渡っていたのである。友人たちから祝福を浴び、ヴィクラムもブーマーに会うなり「やぁ、ガールフレンド」と呼びかける。ブーマーは複雑な気持ちになるが、流れに任せ、ヴィクラムの部屋を掃除したり、一緒に食事したりする。ドゥルガーはヴィクラムにキスの真偽を問い質し、私とキスをしろと迫る。だがヴィクラムはタイプじゃないと言って、ドゥルガーを遠ざける。もう一人、ヴィナイは密かにブーマーに想いを寄せていたが、それを知ったヴィクラムはヴィナイに暴力を振るい、彼女と近づかないよう脅す。ブーマーはそんなヴィクラムの振る舞いに憤りを感じ、激しく彼を責める。ヴィクラムはブーマーに跪いて謝罪する。
ブーマーの学部は学園祭で英語劇をやることになる。ブーマーも重要な役を与えられるが、台詞がからっきし言えず、スディール教授は頭を抱える。一方、ドゥルガーは図抜けた演技力を持っていた。ブーマーはドゥルガーに演技指導を請う。ドゥルガーとブーマーは次第に親しくなる。おかげで芝居は大成功し、ブーマーの演技にも拍手喝采が起きる。だがブーマーが注目を浴びるのを見たヴィクラムは、彼女に皮肉を言う。
翌日、ドゥルガーはブーマーをゲームセンターに誘い、ひとしきり遊んだ後、「ヴィクラムと一緒にいて幸せか」と問い、「ヴィクラムのような男性はあなたとはフィットしない」と言う。ブーマーの心はひどく動揺する。
翌朝、ヴィクラムはブーマーをバイクに乗せ、実家に帰り、彼女を母(Rohini)に会わせる。ヴィクラムの母は物静かな田舎女だった。だが、ブーマーは母から昔のアルバムを見せてもらい、彼女が子供の頃からと人間性が一変してしまっているのを知る。その帰り道、ブーマーはヴィクラムに自分の就職の希望を伝える。ヴィクラムは就職より、自分や母の世話をすることが大切だと言う。
ヴィクラムとの関係に動揺するブーマーは、遂にパニック発作で倒れてしまう。ブーマーはヴィクラムにしばらく会わないことにしたいと告げるが、その理由として「試験勉強のため」と、本当のことが言えなかった。
そんな時に、ブーマーの父ヴァラプラサード(Rao Ramesh)がブーマーの女子寮の部屋に突然やって来る。だが、そこにヴィクラムがいるのを見つけ、激怒してブーマーを実家に連れ帰ろうとする。ヴィクラムは激しく対抗し、「私たちは愛し合っている」と告げる。父はスディール教授に抗議し、娘を転向させようとするが、スディールは「彼女は大人だから自分で決定すべきだ」と言って、応じない。ヴィクラムはブーマーが連れ去られるのを阻止し、父に「お前は最低の父親だ」となじる。父はやむを得ずその場を去り、以降、ブーマーの電話にも出ないことにする。
ヴィクラムはブーマーに「明日、母と一緒にお寺へ行き、結婚しよう」と告げる。だが、勉強を続けたいブーマーは受け入れられない。ヴィクラムは「英文学の学位なんてそれほど重要じゃない」と応じる。ブーマーは遂に切れて、「別れたい、あなたを愛していない、あなたといては幸せになれない、それは初めてキスをしたあの夜から感じていたこと」と、ヴィクラムを拒絶する。
絶望と怒りから、ヴィクラムはブーマーのことを快楽のために自分を慰み者にしたと難詰する。そして友人らと共に、彼女に対してハラスメントの行為に及ぶ。彼らは女子寮のブーマーの部屋のドアに悪質な落書きをする。ブーマーはパニック状態となり、なすすべもなく泣き崩れるが、そこへドゥルガーが現れ、落書きを消す。ちょうどキャンパスでは彼女たちの学年の送別会が行われているところであった。ブーマーは意を決し、ヴィクラムに抗議するため、ステージへと向かう、、。
《 コメント 》
・つい2か月前に個人的な「女性映画祭り」というのをしたのであるが、ここでまたひょっこりと注目すべき女性中心映画が公開されたので、観て来た。注目した理由はラシュミカー・マンダンナが主演であること。これは驚きだった。もちろん、ラシュミカーが女性中心映画に出たとしても不思議ではないが、【Pushpa】シリーズの大当たりで今や汎インドレベルの人気女優となり、ボリウッドの大作にも引っ張りだこな彼女が、ラーフル・ラヴィンドラン監督の地味そうな、相手役がディークシト・シェッティという映画に出演するとは、これはよっぽどラシュミカー的に心に期するものがあったのだろうと、その辺がすごく気にかかった。
・事実、ラシュミカー自身が本作の公開直後にXに長文のポストを入れており、「When Rahul first narrated this script to me, I remember tearing up.. there were so many moments that pinched my heart in ways I couldn't explain」というラーフル監督への謝辞から始めて、関係者へのコメントと感謝の気持ちを切々と述べている(こちら)。ラシュミカーが新作公開後にいつもこういうポストをするのかどうか知らないが、ここまで思い入れたっぷりだと、やはりよっぽどお気に召したということだろう。
・注目した理由のもう1つは、トレイラーを見たら、しれっとアヌ・インマーヌエルが出ているではないか! ファンでありながら、あまり出演作が観れていないので、こりゃ渡りに舟だと思った。
・もちろん、インド映画でも昔から女性中心の映画は作られてきたが、ここへ来て【All We Imagine as Light】(24)や【8 Vasantalu】(25)、【Bad Girl】(25)など、興味深い作品の公開が相次ぎ、女性映画がトレンドになっているようである。ちょっとコメディーっぽくなるが、【Kadhalikka Neramillai】(25)を加えてもいいだろう。いずれも女性の生きづらさ、女性が自分の意思を貫くことの難しさ、女性は男性に従属するものなのか、といった、男性にとってはチクっと胸に刺さるような映画が多く、それはインド映画とインド社会にとっては良い傾向だと思う。
・この【The Girlfriend】もそういった流れに沿うもので、物言わぬ(物言えぬ)保守的な女性ブーマー(Rashmika Mandanna)が、自分の言葉で自分の気持ちをはっきり表明できるようになるまでの2年間を丹念に描いた映画だった。
・まず、ヴィクラム(Dheekshith Shetty)のキャラクターを整理するのを先にしたほうがいいだろう。ヴィクラムはスポーツ万能で、自信家で、気が強く、年長者に対しても怯むことなく接する英雄的人物。時には暴力的になるが、女性に関しては家庭的で母親のようなタイプを好み、ブーマーのことを心底から愛し、また自分がブーマーにとって最高のパートナーであることを信じて疑わない。【Arjun Reddy】(17)の主人公に似ていなくもない。
・対して、ブーマーは作家になりたい、子供たちのために本を書きたいと真摯な意志を持つ勉強熱心な女子大生。女性としてのアイデンティティはまだ確立されているとは言い難く、ヴィクラムに押されるまま、友人たちに流されるまま、漠然とヴィクラムを愛していると思っているし、実際にある程度愛している(事実、彼女はせっせとヴィクラムの部屋を掃除し、母親のように手で彼にご飯を食べさせている)。しかし、ヴィクラムのオレ様的人格に違和感を感じ、自分の意志を尊重してくれない彼のエゴの強さに複雑な気持ちも抱いている。それを鋭く見抜いていたのがドゥルガー(Anu Emmanuel)で、彼女の言葉がブーマーの心に一撃を与える。
・ヴィクラムの人物像は、乱暴な点を除けば、ほぼありがちなインドの男性像で、おそらく彼は亡父から自然とそれを受け継いだのだろう。父はヴィクラムの母(Rohini)を長い年月をかけて「物言わぬ良妻賢母」に作り変えていた。ブーマーの父(Rao Ramesh)だって同じ人種で、彼はブーマーのことを何でも自分の言うことを聞く娘に育て上げたと信じている。いわばブーマーは自分の父とヴィクラムから危うく物言わぬ良妻賢母に仕立て上げられるところだったが、それでは自分の人生の目的が実現できないことを悟り、遂には反旗を翻す。この漠然とした違和感に対してだんだん自覚的になり、遂には自分の真の自己を見出す過程が面白い。
・このブーマーの心の痛みや動揺をラーフル監督は気合いを入れて描いていたが、絡みつく木の根っこや、迫り来るシャワー室の壁などは、表現としては月並みだと思った。しかし、ドゥパッタをシンボルにして、伝統的な女性の束縛とそれからの解放を表現したのは上手いと思った。
・高く評価したい映画だが、これはもしや致命的な脚本上の欠陥かなと思われたのは、ブーマーがヴィクラムと「何度となくセックスまでしてしまった」という点。というのも、ブーマーのようなはっきり物も言えないインドの女性が景気よく股を開けるというのはリアリティーがないように思われるし、ブーマーのこの行為を不快に感じるインド人鑑賞者(老若男女問わず)も多いだろう。ヴィクラムはブーマーに別れを告げられた後、彼女に「愛してもいないくせに、快楽のために俺と寝たのか!」と難詰し、売女扱いするが、その理屈もある程度筋が通ってしまい、ヴィクラムに同情する鑑賞者もいるかもしれない。そうすると、ブーマーに同情/共感できない鑑賞者もいると思われ、そんな人にとってはこの映画は失敗作になる(事実、本作の評価は割れている)。ここはセックスまで行かず、キスだけに留めておくべきだったと思う。
(写真下: このキスから全てが始まった。)
・主要登場人物の名付けが、ブーマー・デーヴィは「大地の女神」、ヴィクラムが「勇猛果敢」、ドゥルガーが「女神ドゥルガー」、教授のスディールは「賢明」と、かなり意図的だった。
・興行成績がどうであれ、レビューの評価がどうであれ、ラシュミカー・マンダンナの迫真の演技が本作に特殊な価値を与えている。私も「この人、こんなに芝居が上手かったっけ?」と頭の中が混乱するほどだった。台詞は、自信はないが、恐らく彼女自身の吹き替えだろう。最低1つは主演女優賞を取るね。
・ディークシト・シェッティのパフォーマンスも称賛に値する。ヴィクラムに対して不快感を感じたなら、それは彼とラーフル監督の思うつぼ。多くの鑑賞者は、不快感を感じつつも、よくやった!と称賛するだろう。この荒けた顔立ちがヴィクラムにぴったりだった。
・面白いことに、本作はテルグ映画でありながら、主役ペアはラシュミカーがクールグのヴィラージペート、ディークシト・シェッティがクンダープラと、どちらもカルナータカ州出身のカンナダ人。(ちなみに、ドゥルガー役のアヌ・インマーヌエルも非テルグ人。)
・私の本作のお目当てだったアヌ・インマーヌエルだが、出番は短いながら、すごく良かった。セクシーな美女でありながら、単なる振られ役で消えるのかなと思っていたら、肝心なときにブーマーを支え、インスピレーションを与える、かなり良い役だった。川縁おじさんも涙ぐんだ。本人もかなりご満悦だったようで、やはりXに長いポストを上げている(こちら)。
・ラーフル・ラヴィンドラン監督自身が英文学のスディール教授役で出演している。さすがに【Andala Rakshasi】(12)の頃に比べると、丸くなった。
《 オマケのひと言 》
・教官のスディールが勧め、ブーマーが読むことになった本はヴァージニア・ウルフの‘A Room of One's Own’。読んでいないので分からないが、何回か言及されていたので、きっと本作のテーマとかぶるところがあるのだろう。もう一つ、映画中でブーマーやドゥルガーが演じる英語劇は「ペーネロペー」という人物が登場するものだった。これがホメーロスの叙事詩『オデュッセイア』に出てくるペーネロペーとどう繋がるのかは分からない(インド英語的には「ペネロピ」と発音するようだ)。
◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆
《 鑑賞データ 》
・鑑賞日 : 11月8日(土),公開第1週目
・映画館 : PVR (Global Mall),10:15のショー
・満席率 : 2割
・場内沸き度 : ★☆☆☆☆
・英語字幕 : あり
《 参考ページ 》
・https://en.wikipedia.org/wiki/The_Girlfriend_(2025_film)
・https://www.imdb.com/title/tt29606526/
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