【Andhra King Taluka】 (2025 : Telugu)
題名の意味 : アーンドラ・キングの身内
映倫認証 : UA13+
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ロマンス/ドラマ
公 開 日 : 11月27日(木)
上映時間 : 2時間43分
監督 : Mahesh Babu Pachigolla
音楽 : Vivek-Mervin
撮影 : Siddhartha Nuni, George C. Williams
出演 : Ram Pothineni, Upendra, Bhagyashri Borse, Rahul Ramakrishna, Murali Sharma, Rao Ramesh, Tulasi, Rajeev Kanakala, Raghu Babu, Satya, Sindhu Tolani, VTV Ganesh, Vennela Kishore, Harsha Vardhan, Rajashree, Yazurved Gurram, Vadlamani Srinivas, 他
《 プロット 》
スーリヤ・クマール(Upendra)は1980年代から90年代を通してテルグ映画界のスーパースターで、アーンドラ・キングと称されていた。しかし、2000年代に入って彼の人気に翳りが出、フロップを打つこともしばしば。折しも、彼の100本目記念作品の撮影が行われていたが、プロデューサーは突然、資金繰りの問題から制作の中止を発表する。今のスーリヤの人気では製作費が回収できそうになかったからである。プロデューサーは3千万ルピー出せば、制作を続行すると言う。スーリヤは昔から一緒に仕事をしてきた別のプロデューサー、アラガル・ペルマールに資金の調達を依頼する。ペルマールは、資金は出すが、100本目記念作品は自分の息子のデビュー作とし、スーリヤにはその父親役をやってくれ、と要求する。それはスーリヤには受け入れがたい申し出だった。にっちもさっちも行かないときに、奇跡が起きる。何者かがスーリヤの銀行口座に3千万ルピー振り込んできたのである。スーリヤはファンクラブ会長のアンジーを通して、その人物を特定する。それはラージャマンドリ在住の、「アーンドラ・キング・ファンクラブ」会長のサーガル(Ram Pothineni)という人物だった。スーリヤはサーガルに会うことにする。その途上で彼は、同ファンクラブの副会長で、サーガルの親友イーシュワル(Rahul Ramakrishna)に遭遇し、話を聞く。
・・・
サーガルはゴーダーワリ川に浮かぶ島の村、ゴーダーパッリの住人だった。父シンハードリ(Rao Ramesh)と母(Tulasi)との3人暮らし。少年の頃よりスーリヤ・クマールの熱烈なファンだったが、それには訳があった。サーガルは緊張するとパニック発作を起こす問題があった。それで学校の入学も拒否されていた。そんなサーガルに勇気を与え、パニック発作を克服させたのがスーリヤ・クマールの民衆を鼓舞する台詞と歌だった。
大学の最終学年のとき、サーガルはマハーラクシュミ(Bhagyashri Borse)と出会い、ひと目惚れする。マハーラクシュミは町の映画館マハーラクシュミ劇場の支配人プルショーッタム(Murali Sharma)の娘だった。サーガルとマハーラクシュミはたちまちに恋仲となるが、カーストも経済的ステータスも違う二人の関係をプルショーッタムは不快に感じていた。それで、息子ムラリ(マハーラクシュミの兄)を使ってサーガルに嫌がらせを働いていた。そしてサーガルとプルショーッタムの緊張が最大限に達したとき、サーガルはプルショーッタムに、「ゴーダーパッリ村に映画館を建設し、スーリヤ・クマールの100本目の映画を上映する。そして自分はマハーラクシュミと結婚する」と挑戦状を叩きつける。
だがそれは困難なこと。ゴーダーパッリは貧しく、電気さえまともに通っていない村だったからである。サーガルはまず砂浜で野外映画上映会を実施し、いくばくかのお金を得る。次に、サンド(砂)ビジネスを行おうと考え、村人たちに協力を仰ぐが、まともに取り合ってもらえない。しかしそれは父シンハードリが村人たちを説得し、ビジネスを開始し、まとまったお金を作る。そして役人も説得し、村に電気を通させる。そうこうして、やっとの思いで映画館が完成する。
だが、ここで悪い知らせが入る。スーリヤ・クマールの100本目記念映画がお蔵入りしてしまったと言うのだ。
・・・
スーリヤ・クマールはイーシュワルに連れられてラージャマンドリに到着する。しかしそこで見たものは、マハーラクシュミの結婚式の案内だった。相手はもちろんサーガルではなく、父の決めた人物だった。ちょうどその日が結婚式で、スーリヤはその式場まで行き、マハーラクシュミに真意を問う。彼女はスーリヤに「これはサーガルの意思でもある」と告げる、、。
・他の登場人物 : スーリヤ・クマールの妻(Sindhu Tolani),スーリヤ・クマールのマネージャー(Rajeev Kanakala),チャンティ(Satya),マハーラクシュミの母(Rajashree)
《 コメント 》
・実は11月29日に観た映画であるが、一時帰国のためにばたばたしていて、鑑賞記をアップするのが遅れた。その週末は必見作がなく、この【Andhra King Taluka】も微妙なところだったが、ウペンドラとバーギャシュリー・ボールセーが出ているのが決め手となった。大きな期待はしていなかったものの、なかなか面白く、観てよかったと思っている。
・題名の「Andhra King Taluka」の「taluka」は、「~側」とか「~から」という意味。例えば、結婚式などで「新郎側」と言う場合、「新郎タールーカー」と言う。訳しにくいので、上の題名の意味では「アーンドラ・キングの身内」としておいた。ちなみに、昨年のアーンドラ・プラデーシュ州州会議員の選挙後、パワン・カリヤーンの支持者が「Deputy CM Taluka」というキャンペーンをやっていたが、本作の題名はそれをもじったものかもしれない。
・落ち目の映画スターとその映画スターの熱烈なファンの出会いを描いたもので、これも映画の映画ということになる。しかし、映画の制作現場とか映画界の裏事情とかを描いたものではなく、スターのファンを中心に描いたもの。ファンクラブの世界を描いた映画はちょっと珍しくなるだろう。それで、違うスターのファンクラブの対立だけでなく、同じスターのファンクラブ同士でも対立が起きるなど、興味深い点がいくつか描かれていた。
・どこかのレビューに本作は2つのラブストーリーを描いていると書いてあって、まさにそうだと思った。一つはサーガル(Ram Pothineni)とスーリヤ・クマール(Upendra)のラブストーリー、もう一つはサーガルとマハーラクシュミ(Bhagyashri Borse)のラブストーリー。サーガルとマハーラクシュミの軸は、きれいに、心地よく描かれているが、それほど新鮮味はない。きっとサーガルとスーリヤ・クマールの軸のほうが本作的には重要だろう。
・というのは、本作を見ると、インド人にとってインド映画とは何なのか、映画スターとは何なのか、ということがよく分かるからである(そして、改めてそれを示すことが新人のマヘーシュ・バーブ・パチゴッラ監督の意図だと思われる)。つまり、これまた古くから言われていることであるが、映画ファンにとって映画スターは神様であり、映画館は寺院であり、インド映画(ここではスター本位の娯楽映画に限る)は宗教に準ずる信仰の場だということ。それが本作では自覚的に描かれている。
・例えば、サーガルがスーリヤ・クマールを神のように崇拝するのは、パニック発作のせいで学校にも入れず、何の価値もなかった自分を救ってくれたのがスーリヤ・クマールで、いわば自分を新たに生み出した存在として、スーリヤ・クマールに帰依する。クライマックスでサーガルは「真の愛とは自己犠牲だ」と語るが、これなど、はっきりとバクティ信仰の一種で、そこが分かると、サーガルが多大の犠牲を払ってでもスーリヤ・クマールに3千万ルピーを寄付するという、不可解な行動に出た理由とその気持ちも分かる。
・逆にスーリヤ・クマールのほうは、確かに全盛期には自分を神のごとく自覚している時期があったろうが、落ちぶれてからは、私財を処分することまでも考える情けない(人間的な)状況に陥る。ところがサーガルに出会って、スーリヤ・クマールがサーガルにしたように、スーリヤ・クマールはサーガルに勇気と希望を与えられ、見事100本目記念映画をヒットさせる、つまり、(少なくともサーガルにとって)スーリヤ・クマールは神の位置を回復したわけである。
・この関係が面白い。もちろんこれがヒンドゥー教的だとは言わないが、ヒンドゥー教の神々というのはキリスト教やイスラーム教の超越神とは違って、信者さんからバクティやプージャーや捧げ物などを与えられて神たり得るところがあるので、スーリヤ・クマールとサーガルの関係はやはりヒンドゥー教的だと言ってもいいだろう。
・物語の時代は1980年代終盤から2000年代前半だったと思うが、20年以上も前の時代にしたのはやはり意図あってのことだろう。今では映画スターのカリスマ性もファンの没入ぶりも以前ほどではないからである(いや、テルグやタミルでは相変わらず凄いところはあるが)。それに、きっと監督はアーンドラ・プラデーシュ州とテランガーナ州の分離以前の物語にしたかったのではないだろうか。
・印象に残るシーンはいくつかあったが、サーガルとマハーラクシュミの映写室でのキスシーンは面白いアイデアだった。あと、砂浜での野外劇場のシーン。
・主人公サーガル役のラームはとても良かった。【iSmart Shankar】(19)のようなヤクザな役より、こういうカワユいヒーローのほうがはまるのではないか? もともと童顔なので、四捨五入したらもう40歳なのに、若々しく見えた。
・【Kaantha】(25)に次いで2週続けてバーギャシュリー・ボールセーを見ることができて、とてもうれしい。今回は前作とはずいぶんと違って、田舎の箱入り娘の役。これも上手く見せている。やはりこの人は注目すべき新進女優だ。
・ウペンドラは、落ち目のスーパースター役ということで、彼のリアルライフと一致していて、ファンとして胸が痛まないこともなかったが、なかなかエレガントに演じていた。この人も他言語映画では大人しくするようだ。ちなみに、リアルスター・ウペンドラはまだ60本強しか出演していないらしく、100本まではまだまだある。
(写真下: こういう紙吹雪が舞うウッピのカットアウトはまた見られるであろうか?)
・そのスーリヤ・クマールの妻役でシンドゥ・トゥラーニが出ていて、驚いた。今なお美人だが、横幅が、、、。
・ミスター主人公の友人と呼びたいラーフル・ラーマクリシュナがやはり主人公の善き友人役で出演していた。何だかスワーミみたいな風貌になっていた。
・映画中の「マハーラクシュミ劇場」。どこにある、何という名前の映画館かは知らない。
《 オマケのひと言 》
・スーリヤ・クマールはテルグ映画界のスーパースターであるが、「トゥル語」を母語とする非テルグ人と設定されていた。理由は分からないが、現実の「落ち目」のテルグ映画スター(例えばチランジーヴィとか)を想起させないような工夫なのかもしれない。
◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆
《 鑑賞データ 》
・鑑賞日 : 11月29日(土),公開第1週目
・映画館 : PVR (Global Mall),10:00のショー
・満席率 : 1割以下
・場内沸き度 : ★☆☆☆☆
・英語字幕 : あり
《 参考ページ 》
・https://en.wikipedia.org/wiki/Andhra_King_Taluka
・https://www.imdb.com/title/tt32553651/
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