【Sirai】 (Tamil)

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【Sirai】 (2025 : Tamil)
題名の意味 : 刑務所
映倫認証 : UA13+
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 2025年12月25日(木)
上映時間 : 2時間6分

監督 : Suresh Rajakumari
音楽 : Justin Prabhakaran
撮影 : Madhesh Manickam
出演 : Vikram Prabhu, LK Akshay Kumar, Anishma Anilkumar, Ananda Thambirajah, Harishankar Narayanan, Thavamani, Remya Suresh, Ragu Esaki, Munnar Ramesh, P.L. Thenappan, 他

《 プロット 》
 2003年、タミル・ナードゥ州ヴェールール。警察官のカディル(カディラヴァン:Vikram Prabhu)は武装予備隊員で、囚人の護送を主な任務としていた。妻のマリ(マリヤム:Ananda Thambirajah)と娘がいた。マリも警官だった。ある日、護送しようとしていた囚人が逃走したため、カディルは射殺してしまう。それが問題となり、彼は当局から調査を受けているところだった。
 またある日、休暇を取った同僚警官に代わって、カディルがある囚人をヴェールールの中央刑務所からシヴァガンガイの裁判所まで護送する任務に就く。その囚人はアブドゥル・ラウフ(LK Akshay Kumar)という青年で、殺人罪で収監されていた。カディルは2人の同僚――パーンディ(Harishankar Narayanan)とムルガン(Thavamani)――を伴い、バスでアブドゥルを護送することになる。アブドゥルは未決囚として、もう5年間も収監されていた。彼はカディルに「明日、裁判所に着いたら、手錠を外してほしい」と依頼する。
 護送の途中、バスのトイレ休憩のとき、アブドゥルはトイレに行く。その間に、パーンディはバススタンドにいた一般客と喧嘩になる。慌ててカディルが仲裁に入り、パーンディをたしなめるが、あろうことかバスは出発してしまい、悪いことにムルガンが銃をバス内に放置したままだということが分かる。警官三人は別のバスで自分たちの乗るべきバスを追い、追い付くが、アブドゥルも銃も消えていた。警官三人は最寄りの警察署に行くと、幸いアブドゥルはそこにおり、銃も無事だった。
 三人の警官とアブドゥルはトラックの荷台に乗って、裁判所を目指す。その道中、カディルはアブドゥルになぜ手錠を外してくれと依頼したかを聞く。
 ・・・
 1997年。アブドゥル・ラウフは故郷の村で母(Remya Suresh)と二人暮らし。彼は幼なじみのカライ(カライヤラシ:Anishma Anilkumar)と恋仲だった。だが、カライの父ペルマールはイスラム教徒のこの母子を何かと嫌っていた。カライの姉の夫で、酔いどれのゴーヴィンダラス(Ragu Esaki)もアブドゥルに暴力的に振る舞うことが多かった。カライはアブドゥルに駆け落ちしたいと言うが、アブドゥルは思いとどまらせる。
 そんなある日、アブドゥルとカライが結婚を希望していることが双方の親に知れる。カライの父ペルマールはアブドゥルの母に暴力を働く。止めに入ったアブドゥルとも揉み合いになる。そして倒されて頭を地面に打ち付けた母は気を失い、病院に運ばれる。翌朝、ペルマールも死亡していることが分かり、アブドゥルが逮捕される。その後、刑務所内で、アブドゥルは母が死んだことを知らされる。
 ・・・
 アブドゥルが刑務所から裁判所に出頭する日は、必ずカライが会いに来ることになっていた。それで、彼はカディルに手錠を外してほしいと頼んだのであった。また、アブドゥルはバスから逃走するつもりもなかったと打ち明ける。カディルは電話で妻のマリに、アブドゥルは善人だと伝える。
 三人の警官とアブドゥルはシヴァガンガイの裁判所に到着する。遅れてカライも現れる。カディルはアブドゥルとカライが話すことを認める。また、判決が有利になるように、裁判官に会って事情を説明するようにアドバイスする。カディルはどんなことを話すべきか教え、アブドゥルはそれを懸命に練習する。そしてアブドゥルとカライは裁判官(P.L. Thenappan)に会い、真摯に事情を説明する。これに動かされた裁判官は事件の記録を読み返し、アブドゥルに釈放されることになるだろうと告げる。一同は大喜びして裁判所を後にする。
 だが、アブドゥルが次にシヴァガンガイの裁判所に行くときは、カディルが同行することができなかった。また、裁判所に着くや、前回と裁判官が変わっていることが分かり、アブドゥルの釈放の件も引き継がれていなかった。カディルが裁判所にやって来、裁判官と話すが、逆効果だった。絶望したアブドゥルは逃走を企てるが、警官に制止される。そこへカライが現れるが、彼女はバスの事故に遭う、、。

《 コメント 》
・これも去年のクリスマス公開の作品。ポスターやトレイラーから、暗く、シビアな印象を受けたので、躊躇しないでもなかったが、評判が良いので観ることにした。結果、これも心温まる映画で、観て正解だった。

・これも実話に基づく映画らしいが、おそらくかなり自由に物語化されているだろう。殺人罪で収監されている青年アブドゥル・ラウフ(LK Akshay Kumar)が刑務所から裁判所へと護送されるまでの物語で、主に警官(武装予備隊員)カディル(Vikram Prabhu)の視点から描かれている。その道中を描く中で、当時(1990年代中盤から2000年代前半まで)のタミル・ナードゥ州の社会情勢、イスラム教徒差別、警察と裁判システムの不備などがうまく織り込まれている。

・監督のスレーシュ・ラージャクマーリという人は新人らしいが、物語はタミルという人が書いたようだ。タミルは元警官で、【Taanakkaran】(22)という映画で監督(脚本も)デビューし、高い評価を受けたらしい。「元警官」というのがミソで、本作は娯楽映画にはなかなか出てこない用語やシステムが出てきて、けっこう困った。ちなみに、主演のヴィクラム・プラブは本作が25作目になるらしく、タミルとは【Taanakkaran】に続いて2回目の共同とのこと。

・上のあらすじで「武装予備隊」と訳したのは映画中では「AR」と頭文字が使われていた。ARは「Armed Reserve」の略で、州警察の武装部隊であり、暴動鎮圧、要人警護、重要施設の警備、囚人護送などを担当する部門らしい。何かすごそうだが、映画中ではしっかりと管理の行き届いていない部門のように描かれていた。驚いたのは、囚人の移送に特別な護送車を使わず、民間のバスを使っていたことだが、そりゃ、囚人にすれば逃走したくもなるだろう。

・もっと驚いたのは、カディルの二人の同僚(パーンディとムルガン)が、囚人移送の任務中に酒を飲んでいたこと。物語と脚本を書いたのが元警官だから、これはかなり事実に基づくと思って差し支えないだろうね。

・映画中で言及されていた事件は、1995年の「ヴェールールフォート刑務所脱獄事件」と、1998年の「コインバトール爆弾テロ」だろう。(まだ何かあったが、覚えていない。)どちらもアブドゥルが煽りを受けることになる。

・トレイラーを見る限りヴェトリマーラン監督の作品に近いと思われ(事実、スレーシュ・ラージャクマーリ監督はヴェトリマーランの助監督をやっていたようだ)、糾弾調のシビアな内容を予想したが、そうではなかった。ストーリーが展開する中で、やれ【Paruthiveeran】(07)か【Mynaa】(10)かと、ビビらせる場面もあったが、最後はホッとする収め方をしている。これが本作のヒットの理由だろう。どこかのレビューに、本作は基本的にアブドゥルとカライ(Anishma Anilkumar)のラブストーリーだと書いてあったが、そのとおりだと思う。

・主演のヴィクラム・プラブは実に良い芝居をしている。改めてフィルモグラフィーをチェックしたら、【Kumki】(12)がデビュー作だったというのを思い出した。あれから13年、良い俳優になったものだ。

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・アブドゥル・ラウフを演じたのはL・K・アクシャイ・クマールという新人で、実は本作のプロデューサー、S・S・ラリト・クマールの息子らしい。なるほど、そういう裏があったか。しかし、オーディションで選ばれたと言われても信じるほどイメージに合ってた。
 (写真下: カライ役のアニシュマ・アニルクマールと。)

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・カライを演じたのはアニシュマ・アニルクマールという人。ケーララの女優らしい。芝居はすごく上手かった。何とも素朴な笑顔は間違いなく本作の印象を良くしている。

・カディルの妻マリを演じたアーナンダ・タンビライヤという人が、出番が少なかった割には印象に残る。主人公の妻、姉、警官役などで重宝しそうだ。

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《 オマケのひと言 》
・ヴェールール(Vellore)からシヴァガンガイ(Sivaganga)までは400キロぐらいあるのだが、なんでそんな所にアブドゥルが収監されていたかには訳がある。アブドゥルとカライの田舎がどの地方かはつかめなかった(要はシヴァガンガイの近くだろう)。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

《 鑑賞データ 》
・鑑賞日 : 2026年1月15日(木),公開第3週目
・映画館 : Cinepolis (Lulu Mall),13:40のショー
・満席率 : ほぼ満席
・場内沸き度 : ★☆☆☆☆
・英語字幕 : あり

《 参考ページ 》
https://en.wikipedia.org/wiki/Sirai_(2025_film)
https://www.imdb.com/title/tt35684868/

 

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